働き方が多様化している現代では、自ら起業・新規事業を始めることを考える方もそれなりに多いのではないかと思います。
個人事業の形で進めるにせよ、会社を設立するにせよ、あらたな事業のスタートには法律問題がつきものです。そんな時、逐一弁護士に相談する必要があるのでしょうか。
もちろん、具体的に、契約のトラブルや訴訟などの法律問題が生じてしまった場合には、すぐに弁護士の意見を仰ぐほうが良いでしょう。
他方、特にトラブルに直面しているわけではない場合、「これは弁護士に相談したほうがいいのだろうか?」と悩む場面もあるかと思います。
今回は、そういった起業に関する悩みについて考え、いち弁護士としての意見を書いてみたいと思います。
基本的には、起業に関する法律問題についてすぐに弁護士に相談する必要はない
起業にあたっては、特に会社を設立する場合、銀行口座の開設やハンコの準備などの事務的な準備に加え、会社法に従った手続き(定款の策定など)を行うことになると思います。
会社法と聞くと、「法律家の出番か!?」と思うかもしれませんが、意外とそうではありません。
今はネット上でも色々なサンプルが多く落ちていると思いますし、当初の定款に特殊な規定を盛り込もうと思っていないのであれば、特に設立段階で弁護士に相談する必要性は高くないと思います。
ただ、特殊なアレンジをしたいのであれば、相談することを検討しましょう。
具体的には、会社を2人で設立して同数の株を保有することとする場合や、一部投資家に優先株を発行する場合などが考えられると思います。
法律に関して「迷う」場合には弁護士に相談を
上で書いたのは、「特殊なことをする場合は弁護士に相談しよう」ということでした。
もう1つ、弁護士に相談すべき場合は、「相談すべきか否か迷う場合」です。
幸か不幸か、皆さんが「相談すべきか迷う」場合、その皆さんの直感は五分五分ぐらいの確率で当たっています。
そして、相談した場合の何回かは、実際には特に問題ないケースだと思いますが、残りの場合は、何かしらの問題をはらんでいること多いです。
弁護士に早期から確認してもらうメリットは、
①問題が顕在化してから依頼するよりも、支払う報酬額が少なくて済むことが多いこと
②相談するか「悩んでいる」問題が、実際にどのくらいヤバい問題なのか教えてもらえること
③今後どういった問題について相談したらいいのか、大まかにイメージできるようになること
などが挙げられるかと思います。
弁護士に早期に相談する場合でも、それが本当に法律的な問題をはらむ場合、相談料は数万円から十万円を超えてくる可能性はありますが、多少の費用はやむを得ないものとぐっとこらえて相談しましょう。
弁護士に相談した「結果」というのは、必ずしもモノとして貰える訳ではないので、ついついコストパフォーマンスが悪いようにも感じてしまったりしますが、それが原因で事業が上手く行かなくなってしまっては元も子もありません。
ホームページ作成費用や、他の設備投資にかかったお金と比較すれば、「そこまで高額の負担ではない」と信じて依頼しましょう。
あらかじめ相談できる弁護士のあてを作っておこう
1つオススメしたいのは、あらかじめ相談する弁護士のあてをつけておくことです。
一番良いのは、知り合いに気軽に相談できる弁護士を見つけておくことです。そうすれば、上記のような「相談すべきか悩む場合」は、迷わず相談できますし、実際に問題がないことが確認できるような場合は、電話一本かつ無料で確認できるかもしれません。
ただ、起業当初から弁護士の知り合いがいる方は、あまり多くないのではないでしょうか。
そういう場合、あてを作っておくためには、必ずしも「知り合い」になっておく必要はありません。
例えば、どこかの会合で知り合った弁護士の名刺を残しておいたり、SNSで情報発信している弁護士のうち興味を持った人をお気に入りにブックマークしておいたりなど、自分なりの第一候補を持っているだけでも、十分価値があると思います。
つまり、実際に知り合いでなくても構わないということですね。
弁護士に相談するか否かを、弁護士に相談するのも良い
また、自分が弁護士に相談すべきか迷っているときは、「迷っている。どうしよう」ということ自体を弁護士に相談することも良いと思います。
なんだか言葉遊びをしているかのようですが、そうではありません。
実際のところ、弁護士は、そこまですぐに何でも報酬や相談料を要求したりはしませんし、皆さんと同じように、自分がもっている知識を皆さんに共有することに喜びを感じている人のほうが多いのではないかと思います。
「悩んでいるのですが、どうしたらいいでしょうか。。」と相談されれば、お金の問題よりも先に、何かしら手助けをしてあげたいという気持ちは、弁護士も同じです。
それなりに作業量がかかってくるときに、初めて報酬の話になるかと思いますので、最初の相談は、そこまで気にせずに気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
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